ニーチェ的解放のかたち〜椎名林檎を読み解く〜

  • 2020.01.29 Wednesday
  • 17:31

 

J-POPの現在 〈生き難さ〉を超えて』

 第六章では、椎名林檎についてたっぷりと論じています。

「おとなの掟」「人生は夢だらけ」「獣ゆく細道」という楽曲を中心に、難解な歌詞に秘められた彼女の世界観の核心に迫ります。

 

 これらの楽曲には、孤独と闇、永遠と瞬間、日常と非日常といった、相反するイメージを融かし合わせて〈自由〉や〈本能〉を手に入れようとする、椎名林檎の闘いの姿が映し出されていますが、観念的な嘘、言葉の嘘に汚染されずに、正しく本能にアクセスし、それを解放するのは、実はたいへんな力わざなのであり、彼女の歌詞の難解さの中には、その苦闘が凝縮されています。

 ニーチェやドゥルーズといった哲学者、フランス象徴派の詩人たち、萩原朔太郎や寺山修司といった日本の近代詩人たちが苦しんできた問題と闘い方というものが、椎名林檎の表現の中にパノラマのように散りばめられているとも言えます。

 

 ここでは、「おとなの掟」の歌詞を引用しておきましょう。

 

おとなの掟(作詞 椎名林檎)

 

真っ黒な中に一つ消えては浮かぶ吐息よ

冷たい闇夜は僕の願い飲み込み( かくま ) います

真っ白な息がいまもっとも無垢( むく ) な本音と

( かじか ) んだ声でなにを歌う?嘘でも本当でも

好きとか嫌いとか欲しいとか

気持ちいいだけの台詞( せりふ ) でしょう

ああ白黒付けるには相応( ふさわ ) しい

・・滅びの呪文だけれど・・

 

真っ( さら ) な子供時代教科書を暗記していれば

正解不正解どちらかを選べると思っていた

ト書き通りに生きている自分

アドリブには慣れていない癖

云いたいこと溢れ出し( かしま ) しい

・・君の前だけだけれど・・

 

手放してみたいこの両手塞いだ知識

どんなに軽いと感じるだろうか

言葉の鎧も呪いも一切脱いで剥いで

もう一度僕らが出会えたら

 

好きとか嫌いとか欲しいとか

口走ったら如何( どう ) なるでしょう

ああ白黒付けるのは恐ろしい

・・切実に生きればこそ・・

 

そう人生は長い、世界は広い

自由を手にした僕らはグレー

幸福になって、不幸になって

( あわ ) ただしい胸の ( うち ) だけが騒ぐ

・・おとなは秘密を守る・・

 

「冷たい闇夜」と「真っ白な息」の対比とは? 「言葉の鎧」や「呪い」とは? 「自由を手にした僕らはグレー」に秘められた世界観とは?

 歌詞を入念に読み込みながら、椎名林檎の本質を解き明かします。

 

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川喜田晶子インスタグラム→https://www.instagram.com/akiko_mist/?hl=ja

 

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